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新宿ウサギズ

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時代を斜めに歩いていくような性格で頑なに個性を貫く、そんなクリエイター同士による奇跡のコラボレーションが、歌って踊れる動画企画を実現しました。

新宿ウサギズのはじまり
一度聞いたら耳に焼き付くその言葉、「新宿ウサギズ」。なぜ、新宿なのか?どうしてウサギなのか?その意味をよく尋ねられるので、ここで紹介しておこう。

ウサギズの活動コンセプトは、人が思いつかなかったようなモノ同士を組み合わせる事である。まずは常識を疑い、視点を変えて混ぜ合わせてみる。

「新宿」という地名と組み合わせるならば、ウサギズ的な思考で考えるならば、「うさぎ」と組み合わせる。すると、「新宿うさぎ」という言葉が生まれる。

でも、「新宿うさぎ」なんて、まるで、カワイイ女の子の集まりみたいで、ボクらみたいなオッサン達が名乗るには、だいぶ恥ずかしいじゃないか。そこで、「らしさ」を出すために、もうひとつの要素を混ぜ合わせる事にした。それが「Z」という強い刺激のあるアルファベットだった。

そして、「新宿」+「うさぎ」+「Z」から、「新宿ウサギズ」という言葉が生まれた。

新宿ウサギズ
何を始めようか?
まるでペンと、アッポーと、パイナッポー合わせたら、ペンパイナッポーアッポーペンみたいな話だが、言葉が放つ音というのはいかに重要かを、ボクらの活動の中で証明していこう。

名前が決まったところで、何を始めようか?

まずは、一番目立つ表現手段を選ぼう。人の印象に残るような。それでいて、自分達がやった事がない事に挑戦したい。自分達の感性を研ぎ澄まし、表現力を試し、能力を疑う、そして、成長していくために、それをやり貫くのだ。

発信し、恥をかき、見つめなおして、投げては跳ね返ってきたボールに当たり、いや、当たればまだマシさ。これだけ多種多様な表現が溢れる世の中、投げたボールは巨大なスルーの川に落ちて、流されていき、誰の目に触れる事もなく海に流れつく、そして、いつしか海底に沈んで、誰にも気付かれる事もなく朽ち果てていく。

それでも、ボクらは自分達の鍛錬のために、やり続けるのだ。積み上げていくのだ。

1つ1つのアイデアは、ちゃんと「作品」という形で残していけば、無駄になる事はない。いつか、その作品のどれかが、必要とされる誰かに拾われるかもしれない。

しかし、この漠然と釣り糸を垂らす行為ではウサギズは納得いかない。もうひとつのウサギズらしさがある。

新宿ウサギズ
ウサギズは、自然の摂理に従った動物的な直観に素直に従って作品を考えている。つまり、ボクらが作る作品は、その場限りで思いついただけの使い捨てではなく、全ての作品が、ひとつの巨大な目的に向かっているのだ。

ボクらが最初に選んだのは、「踊りながら歌う」という事だった。

踊った事も、歌った事も、曲を作った事も、作詞した事もないボクらが、急にやるから面白い。

今は作った動画をすぐにアップロードできるサービスがある便利な時代だ。でも、その便利は、既に生活の必然になって、珍しいものでもなんでもなくなっている。作り手には良い時代でも、評価を求める者としては、ツライ時代でもある。

しかし、これがウサギズにとっては、都合が良かった。未知のものに挑戦するという事は、それは始める前からブザマなモノになる事はわかっている。でも、この巨大なスルーの川なら、誰にも気付かれずに泳ぐ事ができるじゃないか! 

新宿ウサギズ
「新宿迷宮」オッサンラップ誕生
ボクらは今まで縁の下で巨大なコンテンツを支える仕事をしてきた。多くの仲間達とひとつの作品を作り上げる活動は楽しい。でも、完成した後にはスタッフロールの一行になって終わってしまう。プロになればなるほど、スタッフロールすらない仕事になっていく。

何が残る?時代の流れに押し流されてしまうようなスキル?やったぞという自己満足?

舞台にあがって、観客達の真正面に立ってみよう。歌を作って歌ってみよう。踊ってみたっていいじゃないか。それがどれほどのコンテンツになって、どういう評価になるのか、確かめてみようじゃないか。

それをやるために生まれたのが「新宿ウサギズ」という舞台なんだから。

さて、新宿ウサギズの初作品。まずは歌がないと始まらない。作曲だ、作詞だ、どうしよう?

フリーの音楽に適当に歌詞つけるとかどうかな?いや、歌なんてなくてもいいんじゃん?とか、ただのトークでどうだろう?リズムに適当にトークを乗せてみれば、楽しいものになるかもよ?色々逃げ道を考えたけど、やっぱり何から何までオリジナルである事に拘りたい、それがウサギズのコンテンツが使い捨てではない事の証明になるんだから。

となると、作詞作曲からは目を背ける事はできない。

20年以上、作曲活動なんてしていないと困惑したボクが選んだのは、Macに最初からインストールされているGarageBandだった。

新宿ウサギズ
GarageBandとは、既に完成された短いループを並べていれば、自然と音楽が出来上がっていくというアプリで、ドラムパターンや、短いメロディパターン、コーラスなど、様々な楽器やリズム、メロディパターンが5900種類も用意されている。お金を出せば、更にパターンを増やせるそうだが、5900種類もあれば、とりあえず「音楽」と言える程度のものは作れるだろう。

まずは、10時間くらいかけてぶっ続けで、5900種類の音源ループを聴くところから始めた。全て聴き終わった後、唇がカサカサになっていた。この5900種類のループは、今後、曲を作るたびに、何度も何度も聴く事になるが、そのたびにボクの唇がカサカサになる。

次は、できあったベースのリズムパターンに、歌詞を乗せていくのだ。

リリックという言葉の意味も、韻を踏む事の意味も、何も知らずに、何も考えず、耳あたりの面白い言葉を並べて物語を完成させたのが、この「新宿迷宮」の歌だった。この歌を聴いた時、ボクらは思わず叫んだ。

「ラップじゃないか!これ、ラップだよ!」

「ラップ」の意味もよくわかっていないMCハマー世代のボクらの浅はかな威勢の良さは、更なる活動へのエネルギーとなる。

「上野ボードワン」アニメと戦うオヤジ
新宿ウサギズの記念すべき第一作目「新宿迷宮」は、全く未経験なオッサン達の未知の挑戦の産物であったにも関わらず、そこそこに身内の評判がよかった。

思えば、その理由は、普段こんな事絶対やらなそうに見える人達がやるから、モノ珍しさと、内輪ウケとか、そういった意味での評価もあったんだと思う。それなりに形になったのは、ビギナーズラックのようなマグレ当たりもあったかもしれない。

勢いに乗ったボクらは、これをいずれ事業化できないだろうか?という事まで考え始めた。そのためには「単なる悪フザケではないんだよ」という姿勢を見せなくてはならない。何かしらの社会貢献的な要素があったほうが良い。

一発目で新宿駅だったんだから、この共通点に絞り込んで、全ての山手線の駅を歌にしてみてはどうだろう?というアイデアが思いついた。

そこで、第二段目は渋谷駅に決まった。が、実際は上野になった。その理由は、渋谷では落ち着いて素材撮影できる場所を確保するのが難しいと考えたからだった。

1回目よりも、スゴい作品にしよう。「新宿迷宮」からは考えられないようなスゴいビジュアルにしよう。勿論、音楽もスゴイんだ。次から次へと欲張ったアイデアを、まるで闇鍋のように放り込んで、上野ボードワンの構成は組み立てられていった。

今回は、「アニメと実写の融合」という新たな試みに挑戦した。見えない敵と戦うパフォーマーを撮影し、そこにアニメを乗せていく、というもの。

アニメには作画、つまりイラストが必要だ。誰かにイラストを描いてもらう前に、どんなイラストがいいかを考えてみようか。

新宿ウサギズ
トラック一台分くらいのウサギ
トムとジェリー、バックスバニー、ザ・シンプソンズ、サウスパーク。

うーん、もっとさ、ボクらは若者にウケる事を考えたほうがいいと思うんだ。挙げてるアニメがマニアックすぎて、若者路線のアニメのトレンドをもっと取り入れようよ、宇宙戦艦ヤマトとか、銀河鉄道999とかさ。

若者とか言ってるわりに、口から出たアニメが、真っ向から若者を拒絶してるぜ?、誰か、ほら、なんとかハルヒの鬱病とか、魔法少女もなかマナカだったか?とか、そういうアニメを挙げてみろよ。

あー、そういう路線?えーと、それなら、Dr.スランプアラレちゃん?

ボクらのアニメの情報アンテナは、昭和時代で止まってるよ!もう考えるのをやめたほうがいいと思う。

そして、その辺は、誰かに任せよう、という事になった。

そこで、ボクらは、アニメの作画は、ナンセンス系作家として数多くの電子書籍等を出版されている折羽ル子さんにお願いする事にした。

気が遠くなるような量のウサギを描いていただいた。

今回、初めて、絵をお願いして思った事は、折羽ル子さんの性格を例えるなら、「カップラーメン食べたいです」と言うと、トラック一台分くらいのカップラーメンの段ボール箱を送ってくるタイプである事がわかった。

ネル子の猛毒処方箋・カレーライス
第二作目「上野ボードワン」は色んな意味で次の一歩を進めた作品になった。ボクらの中で膨れ上がっていく欲求不満のパワーを思う存分に浴びせ、見るものを圧倒した。

「なんだかよくわかんないけどスゴイ気がする」

しかし、冷静に見られてしまうと、粗が目立つ作品でもある。プロフェッショナルな視点からは音楽的な意味でも、映像的な意味でも、厳しいご指摘をいただいた。しかし、こういった意見をいただけるほどに存在感を放つ事ができたのだ。

よし、この調子で、次の作品は日暮里にしよう。タイトルも「やっぱり日暮里」。思いつくネタがあまり無さそうな土地(失礼)だからこそ、思いっきりできるんじゃないか?

でも、自分たちの「思いっきり」ってなんだろう?それは社会に受け入れてもらえるような「思いっきり」なんだろうか?「やっぱり日暮里」の歌詞は考えていたが、ちょっとココで書いて良いものか迷うようなものであった。

この歌詞は、まだ表に出さないほうが良いんじゃないかな?日暮里の尊厳うんぬんとは、また全然違う意味で、女性がドン引きするような内容だし、いったんボクらは頭を冷やしたほうが良いんじゃないかと思うよ。

そこで、ボクらの山手線ソングは、一時中断し、次の作品の台本を、別の人に託してみる事にした。

「別の人」で思いついたのが、「上野ボードワン」でウサギ達の作画をお願いした折羽ル子さんだった。テーマは特に決めずに、自由に、なんかビジュアル化するための台本を書いてもらってみよう。

折羽ル子さんの感性だったら、きっと女性らしい、時代に合った優しいアイデアが出てくる気がする。

すぐに返答が来た。以下の内容だった。

私はさ、金曜日になるたびにさ、思うんだ。
ジャワカレーとか、キーマカレーとか、
どう考えてもほら、色とか状態とか似てんじゃん。

モロじゃん。

レッドカレーは血便だし。

グリーンカレーとか…(省略)
ねえ、カタツムリのフンとか見た事ある?

わたしはさ、お鍋をかきまぜながら、、
その相似性ってやつに思いをはせ…(省略)

そういや、
肥溜めに落ちるバカな子とかいたりしたよねえ、とか、
思い出に、しみじみするんだよ。

だからさ、トッピングとかは邪道なんだよ。
だって、どこだって、
紙以外は流さないでくださいってあるじゃん。
だからわたしは水も流さないんだけど。

(省略)トッピングって、要するに異物なわけ。

カレーは飲み物ですって人だって、
カツカレーのカツはごっくんしないよね。

魚の骨が喉に刺さってたって、
カツはごっくんしない。

(省略)

あははは、気付いちゃった。
カレーは飲み物ですって、そういう意味か。

夜のお楽しみが黄土色って事なんだ。

ほら、このちっこい具とかさ。
(省略)

このメールは、「台本の文字量はこの程度のもので良いですか?」という確認のためのものだったらしいが、ボクらは勘違いして、そのまま採用して、そのまま映像化して、完成させ、そして公開してしまった。

こうして、ネル子の猛毒処方箋の第一作目が誕生した。

あとで「アレ、文字量はこの程度で良いですか?という意味で送ったものだったんですが、もしかしてそのまま作品にしましたか?」というようなメールが来た気がするが、すぐに閉じてしまったので、よく読んでいない。

リリック修行で「オカッパだだん」
新宿ウサギズといえば、必ず「歌」があるというイメージができた。でも、実際に作った歌は2曲だけで、「新宿迷宮」は殆どまぐれ当たりのように、歌に聴こえるものになった。でも、「上野ボードワン」で力不足が露呈し、ボロが出てしまった。

作品としては勢いがあるけれども、歌としての完成度の低さが目立ってしまい、厳しい評価にさらされてしまった。

テンポの速い曲に、勢いの良い台詞を早口で乗せれば、勢いのある歌になるんじゃないか?それがもしかして「ラップ」ってやつなんじゃないか? それは大きな勘違いで、例えるなら、冬道を車で走っていて、スリップして半スピンで止まった後、「もしかして、これがドリフト?」とか思うくらいの勘違いだ。

一度、新宿ウサギズでは歌を作るのをやめて、別の馴染みのある世界観で修行する事にする。それは、トラウマいちごのテーマソングを作ってみる事だった。

さて、ここで「リリック」「ライム」「フロウ」について考えてみる事にする。

リリックとは、「歌詞」の事。つまり、まずは、何を伝えたいのか?どんな音楽なのか?を考える。口にしただけで、心に浸透してくる、詩としての魅力を考えなければならない。

ライムとは、「韻を踏む」という事で、同じタイミングで母音を合わせる、という事。

まえがみ、ためらい、なげだし、て
maegami、tamerai、nagedashi、te


母音だけ取り出すと、

aeai、aeai、aeai、e

このように母音を合わせた言葉を並べると、読むだけでリズムになる。

カリアゲ、カイカン、価値観、変わる
kariage、kaikan、kachikan、kawaru

aiae、aian、aian、aau


完璧に合わせなくても、リズミカルになっていれば、韻になるようだ。

もうひとつがフロウ。「歌いまわし」という意味だ。

声の強弱や、伸ばしたり、切ったり、として、メロディにドラマ性を持たせて、聴いている人間を気持ちよくさせる事。

例えば、この歌のサビの部分。

プリッと、だだんと、おかっぱ頭に
ボブっと、カットで、ならったったらー、だーん!


と、耳に残る気持ちの良い流れが出来てくる。

今までの新宿ウサギズとは、ノリもテイストが違うが、歌としての完成度は高くなった。

しかし、次の課題としては、ボーカルの表現力だ。本人が「二度と聞きたくない」と言うほど、あまり上手じゃない。

「新宿巨大豚」巨大な豚が新宿を襲う!
にくたらしい顔したウサギを描かせたら右に出るものはいない折羽ル子さん。

羽ル子さんの他のイラスト資料を眺めていたら、少年の心を鷲掴みにしてくるようなイラストを見つけた。

それは、動物をメカにしたイラストだった。この動物メカのイラストとの出会いが、この後のウサギズの歴史を大きく変えていく。

「この動物メカで動画を作らせてもらえないだろうか?」

でも、文字数確認用のメールの内容を、そのまま台本にしてビジュアル化しちゃったという前科があるから、ボクらとはもう仕事したくないんじゃないかな?アレから、なんか気まずくて連絡も取ってないし。

でも、このメカ達が心に語り掛けてくるんだよ。「このまま一生山手線をまわり続けたいのか、それともあたいと一緒に世界を変えたいのか?」

わからないけど、今のままじゃダメだと思うんだ。格差社会とか、貧困とか、差別とか。世界中が色んな社会問題を抱えているじゃないか。わからないけど、とにかく、このメカ達には未来がある。輝ける未来があるような気がしてならないんだよ。多分、フランス革命の時にもみんなそう思った。ソビエト連邦作った人達も、そうだったに違いないんだ。

何か自分の様子がおかしい。

手元には「まんが猛獣島」という電子書籍が開かれていた。それは聖書か何かみたいな力でもあるのか?

絵の質感とビルが馴染んていないなど、敢えて残した課題が沢山ある動画だが、ボクらがロボット映像を作ったら、どの程度のものになるだろう?という試作品にもなった。

屁理屈と理由ばかり考えて何もやらないなんて考えられない。なんでもいいから、まずはやる事から始める。その行動力こそが新宿ウサギズなのだ。

「BUTaCHER2Y#1-The heart」豚の呪い
名前、たかが名前かもしれないが、名前は、強い力を持つ。親が子どもの名前を決める時、あるいは飼っているペットに名前をつける時。その名前にどんな意味を持たせたとしても、気持ちを込めたとしても、その名前が持つ音が、与えられた者の人生の全てを決めてしまう。

「新宿ウサギズ」という名前を持つボクらは、その命名の理由が何であれ、無意識に「ウサギでなければならない」という強迫的な観念に支配される事になった。だから、ボクらはウサギを被る。そして、ウサギを描き、ウサギで表現し続けるのだ。

しかし、それを快く思わない存在があった。そいつはボクらの活動を陰から観察し、隙を伺っていたのだ。

新宿ウサギズ、第二作品「上野ボードワン」のキャプチャー画面を見て欲しい。
新宿ウサギズ
15秒と、46秒に、ブタがいる。

ウサギの色に偽装しているため、気付かなかったが、その目は怒りに満ちている。更に重要なのが、1分40秒。ウサギ男にトドメを刺したのは、うさぎ軍団ではなく、ブタだった!

ブタはこうして、ずっとウサギズをつけ狙い。そして、ついにトドメを刺し、プライドを破壊した。そして、その日から、ボクらの心にはブタに対する劣等感とも、畏敬の念とも言い難い、複雑な感情を植え付けられたのだ。

なぜ、ボクらが「BUTaCHER2Y(ブチェリー)」という作品を作ろうとしたのか、わからない。しかし、今までのどの作品よりも、手間と時間をかけて、作り続けてしまった。何かにとり憑かれたかのように、手を動かし続け、Photoshopで何百にもパーツを切り分けて、それをコツコツとアニメーションにする作業に没頭してしまったのだ。

真夏、暑い夏だというのに、海にも行かず、山にも登らず、地下室に閉じこもって、ひたすら、BUTaCHER2Yを作り続けたのだ。


ブチェリーは新宿ウサギズというチームで作った最後の作品となった。

正式に解散したわけではなく、無期限活動停止というわけでもなく、今もウサギズマインドの炎は心の中で燃え続けている。

ウサギズの参加メンバーはいつでも自分の中に強い目的意識を持っているため、優先順位の高いものが上に積まれていけば、その達成のために猫まっしぐらに走ってしまうため、「何かやるべき事を残してたような気がするんだけどな」の領域に置いていかれてしまう企画が出てきてしまう。

新宿ウサギズという濃厚な制作活動は、チーム参加者達にとって強烈なカタパルト(射出装置)となってしまった。この企画に参加する事で、クリエイター達は自分達の中の新しい才能に気付き、新たな創造意欲を掻き立てられ、自分で決めた新しい世界に飛び立っていった。

この後、続けて2つの作品の制作記録を残すが、これは新宿ウサギズのチームで制作したものではなく、新宿ウサギズに関わる事で、ウサギズマインドに刺激されてしまったPikodon Company内部のスタッフによって、引き続き作詞作曲された歌である。

Bloody Nurses
最強はるか伝説
「ボブッとカットでオカッパだだん」は、新宿迷宮や上野ボードワンに比べて「歌」と言える完成度に近くなったとはいえ、ボーカルが入ると少し苦しいものがあった。これはボーカルの歌唱力の問題で、他の人が歌えば良いものになるはずだ。と思っていたが、そうでもないみたいだった。

なんでも凍らしちゃうお姉さんが出てくる海外の某有名なアニメとか、「歌」を前面にアピールにした映画がよく出てくるようになると、Youtubeとかで歌を披露したり作品発表する人が出てきたりと、世界中の世間で歌について考える人々が増えてきた。

色々と研究してみると、どんな酷い出来の歌でも、素晴らしい歌唱力でフォローしてしまう場合もあれば、いまいち歌に自信がない人が歌っても、それなりなものに聞こえてしまう歌というものもある事を知った。

今回は、歌がうまくなったような気にさせる歌を作ってみようか。

改めて聞きこんでみると、オカッパだだんは、歌に自信がない人を苦しませるようなメロディだった。

「あー」とかいう伸ばす部分とかは、自慢のビブラートを持っていないと音程が外れたような音になってしまうし、メロディに頼らない台詞のような歌詞とかは、漫才師やラッパーのような独自の声リズムを持っている人でないと、ただの棒読み台詞のようになってしまう。

そこで、台詞として話しにくいものは濃いメロディをつけて歌いやすくし、メロディがない部分は、感情的に吐いたセリフを別録りして乗せられるようにして歌唱力をサポートするような構成にしてみる。

更に、声質にあったエフェクトがどれかを沢山試して、歌詞を調節し、何度も聞きなおしては声に合った台詞に書き直して、手間をかけて作詞しなおした。

そして完成したのが、この最強はるか伝説である。

「ボブッとカットでオカッパだだん」は素人が歌ったものだが、「最強はるか伝説」は3人のプロに歌ってもらったものであるかのように誤解させるような完成度になったが、実は、どちらも同じ人が歌っているのだ。

新宿ウサギズとは違う企画だが、この歌作りはウサギズマインドの延長上でできたものなので、ここで掲載してみた。

最速女えまこ
「新宿迷宮」と殆ど同じようなものをコピーして「上野」を作るという発想にならないのが、ボクらのようなタイプのクリエイターの困ったところで、どうしても2回目は1回目と全然違うものを作りたくなる。

でも、多分それは毎回違うものを作りたくなるとか、飽きっぽいとかいうものではなく、1回目を作る時は、自分の個人的な趣味の感覚よりも、作品としての完成度を意識した優等生なものを作ろうとするあまり、出来上がったものは世間の評価は良くても、あまり自分の好みではなかったりするからかもしれない。

アーティストが大ヒットかましたファーストアルバムを「プロデューサーの言う事によく従って作ったけど、私らしくない作品でした」とか言って、全くテイストに違うセカンドアルバムを出したりするのと同じで、「新宿迷宮」や、「最強はるか伝説」が作品としての完成度を優先するのがやっとで、個人的な好みは後回しにしたものだとすると、「上野ボードワン」「最速女えまこ」は作ってみたかったという自分の好みを優先したものになる。


ここまでの作詞作曲鍛錬の集大成となった「最強はるか伝説」の反省点は、説明が多すぎるという事だ。売りたいコンテンツを作るなら、わかりやすくするか、もしくは、最終的に理解できるように仕向けていく必要があるとは思うが、「最速女えまこ」については、理解される事を拒否した歌となった。

「最速女えまこ」はスパイがテーマなので、暗号で情報交換するスパイのように、暗号じみた言葉を繋げて、直接言葉にするには気が引けるような裏側にある毒々しいストーリーを表現している。

歌詞の意味がよくわからないと言われる事は目的通りであって、この歌の内容をわかりやすい文章にしたくはない。

もし、この歌を聴いた時に、いきなりその内容が理解できて、すっこりと心に入ってしまった人がいるならば、あなたこそ、次のウサギズを任せられる人だ。

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