6.5頭身になって人物の絵が描けるようになってきたんだけど、みんな同じような角度で直立モデルポーズになってるんだよね。手を横に垂らすか手を腰に乗せるかしていて、足もみんな立ってるだけ。

そうじゃなくて、下から見上げたり、逆に見降ろしたり、四つん這いになったり、寝そべったり。いわゆる、人間の普段のポーズが描けるようにならないと、いつまでも定点紙芝居みたいになってしまっていて、マンガにする事もできない。

それと、服の中がどうなってるかを考えないで描いていたから、例えば、スカートの中とか描いてなかったりするので、足の接続部分とか存在しない。足の形をした棒が２本。スカートの下からにょっきり生えているだけなので、角度的に「そこから足は生えないだろ？」っていう足になっていた。

お腹の中に内臓が入ってない。肋骨がどこだかわからない。描いている物体の性別は多分女だし、可愛くなるように可愛くなるように意識はしているけど。下着とか、胸とかなんてどんな形だかも認識しないで描いてる。

皮下脂肪が重力的にどんな影響を受けるか？とか弾力とか柔らかさとかも考えてない。

あーあ、５年目にしてまだこの画力か。

そんなわけで、人体の表現力をもっとあげるために、この半導体バニーズとかいう企画がうまれた。

とにかく、とにかく、一杯、ハダカの体を描いたよ。

そして、この企画のおかげで、画力アップの手応えを感じる事ができるようになってきた。うっかりウサギ達に洋服着せ忘れて何かのSNSとかに投稿すると、検索対象から非表示になったりする。

アカウントが凍結されたり、警告が出たりという事はなかったけど、「うっかりパンツ履かせ忘れて投稿した画像」を削除したら、元通りになったので、特定のパンツ履いてない投稿が原因で、なんらかの技術的な制限がかかったのではないかと思うんだ。

それまでそういうのはなかったので、「この絵はエロいですな」と認識される程度には画力があがってきたという事なのかもしれないよ。描くので一杯一杯でパンツとか履き忘れるとか、ほんと全然認識してなかったな。

半導体バニーズは、今まで描いた絵の中でも最も「あ、いやらしい」と思われるような基準にたどり着いてきたんだと思う。

でも、そうなると、新しい問題をちゃんと考えなきゃいけなくなるね。

コンピュータの中に、動力電源、情報入力、CPU、情報分析、記録、情報定義、目次整理、処理進行、反復計算の８つ動作をそれぞれ担当したウサギ達が、物語や、人間の行動について話し合う物語。

単体ではなく、物語の最後の小話として展開していた。

最初は、動力とCPUと情報入力だけが起動するけど、冷静な分析ができないから、ただのノリと雰囲気だけで会話していて、建設的な事を話さない。

そして、そのままシャットダウンして、次はお互いの名前すら忘れる。

次に起動した時に、毎回同じ会話をしているような気がして、記憶担当のウサギを起動。お互いの名前くらいは覚えるようになるけど、まだ物語を分析できるほどの状態ではなくて、自律反発的な感想しか抱かない。

次に、情報定義を起動する事で、物語の行動や、人間の行動に名前を付けて定義するようになり、読み手が笑えるくらいに会話が成り立ってくる。

ウサギ達の会話は、似たような言葉や、意味のない言葉が飛び交うようになっていき、だんだん読み手も苦痛になるほどの意味不明な用語が飛び交うようになってきた。そこで目次整理ウサギを起動。読み手が用語説明を受けられるようになった。

ウサギ達は毎回、一話ずつの感想を話し合う。でもこれだけ冷静に分析している自分達なのだから、物語に干渉すべきだと考えるようになる。そこで処理進行ウサギを起動し、物語の内容に口を出すようになる。

物語の登場人物達に対して、展開が改善するためにアドバイスをしようとするけど、結局、登場人物と同じ判断をしてしまい、アドバイスをする意味がないと考える。

そこで、反復計算ウサギを起動。これで何度も何度も行動をシミュレーションし、最善な判断が何であるかを考えるようになる。

ついにウサギ達は、登場人物達がどうすれば最も理想的な結末を迎える事ができるのか、結論を出す事ができた。でもそれはあまりにも正論的すぎて、物語にならないような判断をする必要があった。

ウサギ達は自分達の存在がこの物語をつまらなくてしまうと判断し、自分達をシャットダウンし、二度と起動しない事を決める。

それぞれがお互いに別れの言葉を交わし、そしてウサギ達は永遠に凍結した。